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満月先生の車に乗せられて、僕は病院に向かった。
後部座席の隣には航がいて、終始僕の手を握っていてくれた。

怖かった。
お父さんの存在じゃない。
拒絶、されることが。



「……奈津」



ぽん、と背中をたたかれて、僕ははっとした。
振り向くと満月先生がにこりと微笑んで、行っておいで、と言った。
気が付けば病室の前だった。
ぴたりと閉ざされた引き戸の向こうに、あの人がいる。



「……こ、」
「……大丈夫だよ」



ぎゅ、と一度だけ強く手を握られて、頬にキスされた。
そっと手を離して、僕はドアに触れた。
こん、こん…と控えめなノックをして、



「……どうぞ」
「っ……!」



懐かしい、声がした。

もう一度振り向いて、満月先生と航の顔を見て―――にこりと微笑まれて―――僕はドアを、開けた。



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