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「こう、起きて、こっ……」
「んー?」
ベッドに膝のりになって航の肩を揺すると、腕を取られてそのまま抱き込まれた。
「こう、違っ……あの、手紙っ」
「んー……ねむ……」
寝呆けているのか、航は僕を抱き締めて、頭を撫でている。
違うんだ、今は。
一緒に、手紙を。
「起きてってば、」
腕から抜け出して、肩を揺すって、
「一緒、手紙読ん」
「読まないよ」
はっきりと、聞こえる声。
「俺は読まないよ」
「え……?」
「奈津への、手紙だろ。一人でちゃんと読みな」
横になったままの航が、僕の手を撫でた。
「俺は、ここにいてやるからさ」
だから、心配すんな。
「……ん」
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