3
次の日は、残酷なくらい晴天の、土曜日だった。
ぱちりと目が覚めて、動きづらさに気付いた。
航が僕をしっかり胸に抱きしめながら、眠っていた。
安らかな寝顔に頬が少しだけ緩んでしまって、思わず前髪を撫でた。
起こさないように腕から抜け出して、喉を潤そうと冷蔵庫へ向かい、
「………あ」
机の上に、一つ封筒。
取る手は昨日と違い、震えてはいなかった。
やけに冷えた頭で封筒を見やり、紅茶が入るマグカップと共にソファへ。
航はまだ、起きない。
(わからない、)
(どうすればいいか)
封筒の中にあるのは、謝罪か中傷か。
どちらにしても、僕にはどうすればいいかわからない。
お父さんを許すのか。
存在を認めるのか。
(許す?)
(……僕は、憎んでた?)
違う。
(愛されたかった、だけ、)
封筒を片手に、寝室へと戻った。
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