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「ゲーム、さんきゅな。どうだった?」
「あ、えと……たのし、かった……」
「良かった。またなんか貸すな」
じゃあな、と春川くんは行ってしまった。
(僕、普通に)
びっくりした。
心臓がどきどきしてる。
ドアを締めて、鍵かけて、その場に座り込んだ。
人懐っこい顔を思い出す。
いい人、だった。
ほんわりした不思議な気持ちになっていると、ドアが開いた。
「わっ、びっくりした……どしたの、奈津」
「あ、さっき、ゲームを」
「……あー春川か。忘れてた。……って奈津が返してくれたの?」
部屋に戻りながら、航が意外そうに行った。
「ごめ、勝手に」
「や、いーよ。それより、大丈夫だったんだ」
飲み物を冷蔵庫にいれた航が、ソファに座る僕をぎゅうと抱き締めた。
「え、こう、」
「奈津すごい。春川と、喋れたんだ」
褒めるように、頭を撫でられた。
緊張したけど、確かに僕は話せたんだ。
航があんまり嬉しそうだから、僕も誇らしくなった。
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