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10cmくらいしかあけずに、隙間からケースをさしだした。
ちらりと見えたのは、人懐っこい感じの男。
この前、少しだけ見た人だ。



「うわ、なんか」
「まっ……まちがって、」
「違う違う。これ。ありがと」



そっと、ソフトを引き抜かれた。
僕はもう少しだけ、ドアを開けてみた。
驚いたような顔をした、たしか、春川、くんがこちらを見ていた。
びくりとしてドアを少し締めると、にこりと笑われた。

なんか、安心する笑顔。



「俺、春川竜也っての。浅井と同じクラスな」
「お、なじ」
「そ。高梨とも同じクラス」



あ、なんか。
普通に、普通の話してる。



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