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夏が、近づいてきた。



最近、僕の体調は良くなっていった。
前よりも不安定な日は少なくなったし、夢も、あまり見なくなった。
それに何より―――航に少しずつ甘えられるようになった。
迷惑かなとは思うけれど、航は嫌な顔一つしないで、僕を受け入れてくれる。
それが何よりも、嬉しかった。



放課後。
僕は航の部屋にいた。

航は飲み物を買いに外に出ていて、僕は一人。
最近は航がしているゲームを教えてもらっていて、まあまあ慣れてきた。
まだ弱っちいけど。

かしゃかしゃとコントローラーを動かしていたときのことだった。
控えめにコンコン、とドアがノックされた。



「高梨?」
「っ……」



知らない人。
前のこともあって航はいつも鍵を締めるようにしていたから、ドアが開くことはなかったけれど。



(っ、こわ、)



息を殺した。
ゲームの音量を落として、居留守を決め込んだ。



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