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「呼んでくれてありがと。俺を頼ってくれて、ありがと」
「め、わく……とか、思って」
「ないよ。むしろ嬉しい。めっちゃ嬉しい」
「え」
航が瞼にキスした。
「だって、奈津が俺を必要としてくれたって事でしょ」
「……ん、」
「迷惑とか面倒とか、思うわけない。好きな人に必要とされたら、うれしーの」
それが夜中でも朝っぱらでもね、と航は髪を梳きながら言った。
(そう……なんだ)
少しだけ、心が軽くなった気がした。
「も寝な?薬飲まなくて大丈夫?」
「……も、いい」
「?もう飲んだの?」
航の首に、腕を巻き付けた。
ぎゅうっと、力を込める。
航の匂い。
(もう、いらないや)
航が僕にとって、一番の薬みたい。
「っ……かわいい」
ぽつりと僕が言うと、航も抱き返してくれた。
先生に言ってみようかな。
もう、お薬いらないみたいですって。
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