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夜。
深夜二時。
僕は一人、目を覚ます。
航はこの前のこともあって泊まれと言ったけれど、僕は断った。
甘えてもいいという航の言葉を受け入れながらも、僕はなかなか行動に移せないでいる。
そして今。
(……また、)
ぽたり、落ちる血。
左腕に入る傷。
いつの間にカッターを握ったのかはわからない。
痛みももう麻痺している。
同じ場所に同じ傷が重ねられ、床には紅が零れだして、
(……きたない)
ぎゅっと拳を握ると、紅の滴る速度が速まった。
(死にたいわけじゃないのに)
どうしてこんなことをしてるんだろうと、自問。
死にたいわけじゃないのに。
ただ、不安になるんだ。
どうしていいかわからなくなるんだ。
血を見ると少しだけ安心する。
冷静になったら後悔する。
薬を飲んでもやめられない。
傷は増えるばかりだ。
(航、航)
こんな僕を、それでも愛してくれる?
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