5
side.航
「っへー!あれが浅井か」
春川が心底驚いていた。
奈津と出会って、付き合っていることをすべて話した。
もちろん、奈津の暗闇は、話していないけれど。
「俺も浅井と話したい。高梨だけずるい」
「やっ……や、それは、ちょっと」
「あー………なんか、ごめん」
ぱっと、春川がテンションを下げた。
「ま、さっきの浅井見てたらわかるわ」
なんか事情あんだろ?と春川はこれ以上聞かないでいてくれた。
変なとこで物分かりがいいやつ。
同時に、心中で感謝した。
「悪いな。ま、いつか、な」
「ん。……あ、ゲーム持ってきたし、2人でやれよ」
「え、あれお前楽しみにして、」
「いやいや、いーって!邪魔したお詫び。ネタバレだけはすんなよ!」
ぽん、と肩を叩かれて、春川は颯爽と走っていった。
珍しく、春川がいいやつに見えた。
いつか、奈津に春川をあわせてやりたいなあと思いつつ。
そろそろ部屋に戻ろうと、ドアをあけた。
前へ top 次へ