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がんがん、と何かを打ち付ける音で目を覚ました。
「ん………」
あ、ねこ、とまだ眠気のとれぬ目をこすって、部屋を見渡すと、
「なっ……」
一瞬、強盗でも入ったのかと思った。
机の上に置いていた書類はびりびりで、引き出しも落ちて散乱してしまっていた。
フローリングに散らばる白は、ティッシュペーパーらしい。
本棚から本が落下して、真下に山を作ってしまっていた。
寝ている間に地震でも起きたのかと考えて、
「にゃ、ぅ」
「あ」
声。
それは本棚の影から聞こえた。
ずたずたで微かに血が滲むタオルケットは空っぽで、逃げたのかとそっと近づいて、
「にゃあっ、にゃー…っ…」
「……!?」
そこには、ねこ。
いや、猫耳の―――ついでに尻尾も―――少年が、いた。
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