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side.千夏
「ゆ、じ」
ひらひらと腕をゆうじのほうに伸ばしてみた。
困ったように笑って、ゆうじは僕の腕を取る。
「どうしたの、千夏」
また一緒におふとんに入って、ぬくぬく温かい。
僕の手を握って、ちゅ、とキスをしてくれた。
ゆうじの手は、大きくて、綺麗だ。
細くて汚い僕の手とは、大違い。
この、傷あとも、痣も、いつか消えてくれるのだろうか。
「ゆう、じ」
「ん」
ゆうじの声は、とても綺麗だ。
柔らかくて、あったかい。
僕のどもった声とは、大違い。
ゆうじは、僕の指にキスをする。
てのひらに、手の甲に、手首に。
するすると落ちて、汚い、傷だらけの腕に唇を落とした。
「ゆうじ、」
「ん、なぁに」
新しい傷は、もう、ふやしたくない。
そう思うのに、僕は夢のなかで、傷つけてしまう。
「きたない、よ」
呟くと、ゆうじはぴくりと動きを止めた。
けれど構わず、僕の腕にキスをした。
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