2
 

side.千夏



「ゆ、じ」



ひらひらと腕をゆうじのほうに伸ばしてみた。
困ったように笑って、ゆうじは僕の腕を取る。



「どうしたの、千夏」



また一緒におふとんに入って、ぬくぬく温かい。
僕の手を握って、ちゅ、とキスをしてくれた。

ゆうじの手は、大きくて、綺麗だ。
細くて汚い僕の手とは、大違い。

この、傷あとも、痣も、いつか消えてくれるのだろうか。



「ゆう、じ」
「ん」



ゆうじの声は、とても綺麗だ。
柔らかくて、あったかい。
僕のどもった声とは、大違い。

ゆうじは、僕の指にキスをする。
てのひらに、手の甲に、手首に。
するすると落ちて、汚い、傷だらけの腕に唇を落とした。



「ゆうじ、」
「ん、なぁに」



新しい傷は、もう、ふやしたくない。
そう思うのに、僕は夢のなかで、傷つけてしまう。



「きたない、よ」



呟くと、ゆうじはぴくりと動きを止めた。
けれど構わず、僕の腕にキスをした。



前へ top 次へ

 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -