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side.千夏



「う……?」
「おはよう、ちな」



朝はいつも、きらきら眩しい。
隣がもぞもぞとしたから目をさますと、ゆうじがにこりと笑って頭をなでてくれた。
ご飯、つくるね、と言って、ベッドから出ていってしまう。

僕はのそのそとベッドの中でうずくまった。
おふとんは、まだ温かい。
温かいところから出るのは、おっくうだった。

うずくまった先に、僕の左腕が見えた。
白い線がたくさん入った僕の腕。



「…………」



地図を辿るように、右手の指で線をなぞった。
僕が傷付けたそこは、ぽこぽことでこぼこができて、ふさがっている。

汚いなぁ、って、思う。
ゆうじは、とても綺麗だ。

綺麗に、わらう。
綺麗な手で、僕をなでてくれる。

僕のように、傷あとはない。

布団から腕を出して、伸ばしてみた。
弱弱しく伸びた、細くて汚い腕。
ひらひら、と宙に揺らしてみた。



「ちな?」



なかなか起きてこない僕を起こしに、ゆうじが戻ってきた。



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