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side.千夏
「ちな、おはよう」
からだがゆさぶられて、めをさました。
めをあけると、ゆうじがいた。
笑ってくれた。
「……まだ眠たい?」
ふわ、と髪をなでてくれた。
ここはもう、白い箱じゃない。
白い部屋でもない。
夢をみていた僕のまま。
僕は夢をみつづける。
「ゆ、じ……?」
「ん? ……どうして泣いてるの?」
ゆうじは、涙をぬぐってくれた。
その手のあったかさは、夢じゃなくて。
「ゆめじゃ、ない?」
「夢を見たの?」
「……でも、もう、わすれちゃった」
そういうと、ゆうじは優しく笑うから。
怖い夢だって吹き飛んで。
夢は、現実になる。
「おはよう、ゆうじ、」
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