3
side.千夏
「奴隷のくせに。そんなに死にたいなら、死ぬほど苦しい思いさせてやる」
ご主人さまはそう言うと、僕のかみのけをひっぱった。
ずるずると風呂場につれていかれる。
お湯のたまった浴槽。
しにたかったはずなのに、ぞっとした。
「っ………!」
髪をつかまれたまま、浴槽にかおをうめられた。
いきができなくなる。
苦しい。
助けて。
意識がとおのきそうになると、ご主人さまが僕のあたまをあげる。
喘ぐようにさんそを吸うと、また、顔をつけられる。
何度も何度も。
しにたかったのに、しぬのは、苦しかった。
「どうだ? 苦しいだろう」
ご主人さまがにやにやわらうのがわかる。
このまま、苦しいのを耐えたら。
僕はしねるのだろうか。
一度しねばもう、苦しいことはない。
そう思って、何度目かのお湯のなか、僕は静かにめをとじた。
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