2
side.千夏
しんでしまうことは、楽になること。
僕はようやく気づいて、実行した。
血を流せばしねると思った。
ご主人さまがいないときに、うでを切った。
痛かった。
でも、耐えられた。
うでは焼けるようにあついのに、頭はぼうっとして、手はつめたくなっていった。
もう二度と目がさめませんように。
そう願いながら、目をとじた。
「ふざけるな!!」
怒声と、頬のするどい痛みで目をさました。
ご主人さまだった。
うではぐるぐるに、包帯でまかれていた。
「死ぬなんて許さないからな!」
そう言いながら、僕を叩く。
しぬことさえ、叶わなかった。
「……何だその目は」
僕は、つかれてしまった。
ご主人さまが怒ることだって、どうでもよくなっていた。
前へ top 次へ