3
 

(いっ……てぇ)



それでも、十分ではないから。
千夏の痛みに比べたら、これくらい。



「ひっ……!」



暴れる千夏を構わず抱き締めた。
腕を突っぱねられても、離れないように。

力では敵わないと悟ったのか、俺の背中や腕に爪をたててくる。
それでも、離れないように。



「ちな」



ゆっくり背中を撫でてやる。
髪をすいて、耳元で呼んで。



「ちな」



震える身体は、小さくて。



「こ、こわ、ぃ……っ」
「うん」
「こわ、かっ……ゆめ……っ!」
「うん」



もう、夢は終わり。



「ここにいるよ」



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