2
 

心も体も良くなってきているとはいえ、それは簡単にいくものではなかった。



「っぅ、あ、あー……っ」



うとうとし始めた千夏をそのままソファに寝かせ、背を向けてテーブルで課題をしていたときだった。
突然の声にかけよると、ソファの上に蹲る姿。



「ちなっ」
「あ゛、ぁ、」



寝言なのだろう、ぎゅう、と目を瞑ったまま。
顔の前に持ってきた両手、けれど右手はしっかりと左手首を掴んでいて。

爪が手首に食い込み、皮膚を切るほどの、強さと苦痛。



「ちな、起きて、っ」



肩を揺らすと、身体が大きくびくりと跳ねた。
ばっ、と開いた眼は、焦点があっていなくて。



「ぃや、やぁ、っ……」
「千夏、俺の声、聴こえる?わかる?」



身体を起こして顔を覗き込むけれど、千夏はかぶりを振って避けた。
抱き締めようとしても、腕を突っぱねられる。



「落ち着いて、大丈夫だからっ」
「やあぁぁっ!やー……っ!」



ばた、と暴れられて。
振り回された千夏の手が、俺の頬に当たった。



前へ top 次へ

 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -