6
 

「じゃあね、千夏くん!羽鳥先輩も、また学校で!」
「ん、今日はありがとな」
「………」



千夏は黙ったまま。

……違う、かける言葉がわからないんだ。



「ちな、さようならって」
「さよなら、?」
「ん、また来てねって」



千夏の手をとって、二人に振ってやる。



「さよ、ならぁ」
「さよなら、千夏くん」
「さよなら」



珍しく悠が、無垢な子供と接するように笑って言った。
こちらに背を向けて歩き出した途端、日向が少し怒ったように悠の背中を叩いている。
やきもちかな。

最初はどうなるかと思ってた。
千夏は怖がるだろうと思っていたし、二人も、年齢にしては幼すぎる千夏に戸惑うんじゃないかと思っていた。

けれど事情を話せばわかってくれたし、千夏も順応していった。
すごく簡単そうで、すごく大きな進歩だ。



「お友達、できた」
「ん」
「ふふ」



嬉しそうに、千夏が笑う。
友達ができた、たったそれだけのことなのに。

だから俺も嬉しくなる。
もっともっと、楽しいことでいっぱいにしてあげたくなる。



「そうだ、篠崎さんに手紙書こっか」
「書く!」



素敵な便箋を買いに行こう。



前へ top 次へ

 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -