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「……あれが裕二を更正させたやつね」
「更正ってなんだ、悪人見たいに言うな」
くっ、と悠が笑う。
「まぁ……確かに、わからなくはない」
「だろ?」
「……えらく真っ白な子だな。対するこっちの汚さがわかっちまう」
自嘲するように言う悠に、同じ意見を持ちながら無言で返す。
俺も悠も、汚すぎた。
悠は、今は笑っている日向をひどく傷付けたことがある。
俺は、自分の快楽のためにたくさんの人と遊んで捨てた。
千夏は、綺麗すぎた。
「……きつくないか?」
初めて言われた言葉だった。
綺麗な千夏に、汚い自分の手で触れることが許されるのか。
頭の片隅にいつもある罪悪感だった。
「……それでも、千夏は必要としてくれるから」
俺はどんなに傷付いてもよかった。
千夏が俺を求めれば俺はそばにいるし、千夏が不必要と言えば俺は離れる。
「一番……大切なんだ」
「……そうか」
千夏のためなら、俺はどれだけでも手を染められる。
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