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「ちな、怖くなかったの?」
ぽんぽん、と背中を叩きながら聞くと、ふるふると首を振られるのがわかった。
「困ってる、から、おうちにって……」
篠崎さんに会ったお陰なのだろうか。
少し前までは、自分のことで精一杯だったのに。
他人を思いやることが出来るようになってる。
自分と歳が近いというのも、近付きやすかったのかもしれない。
「えと……ゆう、と、ひなた」
「うん!」
日向が嬉しそうに返事をする。
たった一歳しか変わらず、日向も男にしては小柄な方なのに、比べると千夏の細さが際立つ。
「もう友達だよねっ」
日向がにこやかに言って、千夏が少しだけ戸惑うのがわかった。
俺は千夏を日向の隣に座らせて、頭を撫でる。
「良かった。友達、できた」
「!……うんっ」
「千夏くん、僕の名前はこう書くんだよー」
きゃいきゃいとちびっこがスケッチブックに向かう中、俺と悠はそれを見守るように立っていた。
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