3
「おかえりなさぁいっ……」
千夏だけはいつも通りで、飛び付くように俺に駆け寄ってきた。
「あのね、てがみ」
「ん、見たよ。ありがとうね」
抱き締めると、肩越しに二人が見えた。
「……で、何でここに。千夏に嫌な思いさせなかった?」
「邪険に扱うなよ」
「えっと、千夏くんが郵便受けのところにいて……」
ということは、千夏が招き入れた?
「ゆじの、お友達って……」
怒られると思ったのか、千夏は恐る恐る聞いてくる。
怖がらせないように、そのまま抱き上げて背中を撫でた。
「ん、ありがと。俺の友達。ちなが家に入れてくれたから助かったよ」
「……羽鳥先輩、全然学校と違うね」
「こっちは猫被ってんだろ、惑わされんな」
「聞こえてますけど」
ひどい言い様な二人に溜め息がでる。
それよりも、千夏の変化が嬉しかった。
俺以外の人に怯えなかった。
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