5
「ちな……」
やばい、これは。
止まらないかもしれない。
相変わらず千夏は抱き付いたまま。
「……ちな……?」
反応がなくて、はっと顔をあげた。
千夏は瞼を重たそうにして、こくりこくりと船を漕いでいた。
「ちな、眠たい?」
「ん……」
初めてのお風呂で温まって、眠たくなってきたのだろう。
そのまま、こて、と俺の肩に頭を乗せてきた。
身体を預けるような、信頼ともいえる行動に嬉しくなると同時に、少しの生き地獄を味わった。
(……ま、いいか……)
もう少し、俺が我慢すれば。
今はまだ、千夏が自分で前に進めるように、背中を押してあげよう。
濡れた髪を何度か撫でると、くすぐったそうに身動ぎした。
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