3
ココアを作って、部屋に戻って。
千夏はまた、俺の膝の上。
さっきと違うのは、向い合わせじゃなくなったこと。
俺は後ろから千夏を抱きしめて、千夏は両手でマグカップを包む。
一緒にテレビを見ながら、時たま千夏はこくこくとココアを飲んで。
「う……ん?」
思わずうとうとしてしまったらしい、はっと意識を戻すと、千夏はマグカップを机の上に置いていて。
千夏のお腹あたりにおいた俺の手を、撫でたり握ったりしていた。
「なーにしてるの?」
俺が寝ていると思っていたのだろう、千夏はぴくっと肩を震わせて、手を引っ込めようとした。
俺は思わず、その手を追って握りしめた。
「やめないで」
「あ、ぅ」
「手、にぎにぎしてるの、可愛い」
耳に唇を寄せると、またびくっと反応する。
……ここで俺が我慢できるのは、相手が千夏だからだ。
「ゆじ、起きた……?」
「ん?自然と起きたんだよ」
「よ、良かった」
なんだ、起こしてしまったんじゃないかって気にしてたのか。
そんな小さなこと、いいのに。
大丈夫だよ、と伝えるように頭を撫でると、くたりと俺に身体を預けてくる。
俺の片手をとって、自分の頬にあてる。
「……ちな?」
濡れた感触。
泣いている?
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