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「俺もだよ、ちながいないと、どうしたらいいかわかんなくなる」



たった少しだけでも、怪我をしてしまったと思うだけで、心臓が止まりそうになる。



「ゆじも、一緒?」
「ん」
「ずっと、いっしょ、」
「ん、ずっとだよ」



年相応じゃなくたっていい。
このまま真っ白なままでいてほしいと思うのは、俺の我が儘だろうか。



「ん……」



すり、と千夏が俺の首筋に鼻を近付ける。



「ちな、くすぐったいよ」
「ゆじの、におい、する……」



俺も、目の前に近づいた千夏の髪に、そっと口付けた。



「ゆ、じ……」
「眠い?」
「ちがう、くて、」
「ん?」
「ぎゅ、て、してほし……」



なんだ、可愛いなぁ、と思いながら、華奢な背中に腕を回す。
千夏は言った通り、ふゃ、と力なく、けれど嬉しそうに笑って、俺を抱き返してきた。

いつのまに、こんなに自分の意思を持てるようになったんだろう。
自分のしてほしいことを、言えるようになったんだろう。
もっと、我が儘になればいい。
俺が困ってしまうくらいに、我が儘になればいい。



どうか、 少しずつでいいから。
今のように、少しずつでいいから。
過去の記憶がなくなるくらい、しあわせになれますように。



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