3
 

あんまり千夏が熟睡するものだから、ベッドへと移動させた。
その間に少しだけ、一階のリビングにおりる。

今日のごはんはどうしようかな、なんて考えて、



「!」



ばたんっ、とドアが開く音がした。
咄嗟にリビングを出て、廊下を走って、階段を目の前にしたとき、



「ちなっ!」



目の前で、千夏が、階段から落ちた。
階下に下り立つほんの二、三段だけだったけれど、細い千夏が倒れるには十分な高さで。

鈍い音とともに床に倒れこんだ千夏にぞっとして、駆け寄った。



「ちなっ、ちな、けが、大丈夫、っ?」



我ながら、言葉になっていないのがわかる。
いや、言葉に出来なかった。
千夏が怪我したんじゃないかって、そう思うだけで、冷や汗が流れた。
今までそんなこと、誰に対しても、なかったというのに。



「あ、ぁ、」



千夏はぼろぼろ泣いて、床にへたりこんでいた。
落ちてびっくりしてしまったのだろうか。

見たところ、大きな怪我はしていないようで、ほっとした。
膝に痣ができてしまったくらいだ。



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