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カタカタと震え、身構えるように両手で耳を塞いだ。
「佐倉?」
「あ……あ、」
穂積が呼びかけても、佐倉の目線は俺から揺らがなかった。
訝しげに穂積が俺を見るが、何もわからず首を振ることしか出来なかった。
なぜ、俺に怯えるのだろう。
「乾、悪い、出てくれるか」
「………」
「乾!」
強く言われ、しぶしぶカーテンを閉めた。
一人椅子に座って、考え込んだ。
何か強いたことはなかった。
嫌がることはしたことがなかった。
佐倉が、今まで一緒に過ごしてきたというのに、あんな風な拒絶をする理由が、俺には思いつかなかった。
(……相当、嫌われてんのか)
そう思うことしか出来なかった。
「……落ち着いたぞ」
しばらくして、ようやくカーテンが開いた。
ちらりと覗くと、佐倉はくたりとして眠っていた。
ふぅ、ふぅ、と息が少し上がっていた。
「もう帰した方がいいな」
「……あ、」
「ん?」
「今実家に戻ってるって言ってたけど」
生活必需品は実家にあると佐倉は言った。
今帰すとするならば、実家の方が都合がよいと思ったのだけれど、
「え?」
穂積は眉を顰めた。
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