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街から少し離れたパーキングエリアに、何度か見たことのある雪村さんの車はあった。
助手席に乗るけれど、雪村さんはなかなかエンジンをかけなかった。



「雪村さ……?」
「気持ちは変わらない?」
「え?」
「君の気持ち」



薄闇の中で、ぐっと顎を掴まれた。
至近距離に寄った雪村さんの整った顔に、思わず息を呑む。



「俺は、まだ伊織のことが好きだよ」
「っ……」
「抱かせてくれても、君は応えようとも断ろうともしなかった」



いつもと雰囲気が違うことに、遅ばせながら気付く。
微かな怒気を孕んだ空気をまとっていて、少しだけ身構えた。



「遊びだと思ってる?」
「っ!」



動きを封じるように手首を強く握られて、息が詰まる。
いつも優しい雪村さんが、こんな風に感情をあらわにするのは初めてだった。



「ごめ、なさ……」
「許さないよ。黙っていなくなったことも」
「っう、」



どす、と下腹部に重い痛みが走った。
鳩尾を殴られたと気付いたときには、意識はもう、暗闇の中だった。



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