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「大丈夫か」
「っ、起こし、ましたか」
「いや、起きてたから平気」



よく見れば顔は真っ青で、胸元をぎゅっと握ってキッチンに寄り掛かっていた。
人のことを気遣う前に自分のことを考えろ、と脳内で舌うちしながら、崩れ落ちそうな身体を支えた。



「きついの、」
「っ、平気、です……ちょっと、休めば……」



ふぅ、ふぅ、と自分の身体を落ち着かせるように佐倉は呼吸をする。
売りをはもうしなくなったとはいえ、身体が弱いのに変化はない。
ちょっとしたことがきっかけになって、佐倉は体調を崩す。



「ん、こっち」
「っ……」



立ったままというのも辛いだろう、手を引いて腰を下ろさせ、俺の膝の上に乗せた。
びくっ、と警戒したものの、けれど佐倉は俺が撫でる背中の手に、ほっと息を吐いた。



「ふ、ぅ……」



首の後ろに、じわりと汗をかいているのが見えた。
消えてしまいそうなくらい軽い重さに、少しだけ怖くなる。

もしも一人で倒れたら。
もしも知らぬ間に死んでしまったら。



「ごめ、なさ……もう、大丈夫です」



ゆっくり離れようとするけれど、思わず腕を引いて抱きしめた。



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