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何を言っているのか、一瞬わからなかった。
「は……?」
「ぼ、ぼくは……っ、あなたにとって、何、ですか……?」
スポーツ大会で保健室に行ったとき、伸ばした手を拒否されたことを思い出す。
そのときからどうもおかしかった。
試合が始まるまでは何もなかった。
試合後から、穂積が保健室に来るまでの間に何かあった。
そこにいたのは、
「……淳に、何か言われたか」
びくっ、と佐倉の肩が揺れた。
この前俺に言ったことと同じようなことだろうか。
さしずめ、金目当てで近付いているのか問いただされたのだろう。
淳に悪意はなかったはずだ、いつもこうやって、俺や仲間を心配してくれているから。
「……前に、俺と淳で、佐倉が売りやってるとこ見たことあって。そのままだったから、あいつ誤解してんだと思う」
「………」
「佐倉のことが嫌いっていうわけじゃなくて、あいつなりに、心配してたっつーか」
「……それじゃあ、」
佐倉の声は、震えていた。
「あなたは、僕のこと、どう思ってるんですか」
淳との最近の会話を思い出して、うっと言葉が詰まった。
それはつまりどういう意味で言っているのだろうかと、考えが巡る。
「っ……僕が邪魔なら、そう、言っ……」
「……何でそうなる」
考え込む佐倉のことだから、また変な風に考えが巡ったのか。
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