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「ありがとな。でも、佐倉、そんな悪いやつじゃねーと思う」
「根拠は?」



同じ言葉を使って、淳が皮肉ぶったように聞いてくる。



「ふらふらしてっけど、色々複雑らしい。家庭環境とか」
「……詳しいな」
「穂積と仲良いからな」
「げっ、あいつ個人情報漏らすの」
「ちょっと聞いただけだっつの」



身体の弱さや、それに伴う学校からの隔絶も、大声で言えることではないけれど、知っていれば考慮される事案であることは確かだった。
何も知らないままじゃ、淳のように佐倉のことを良く思わないのも頷ける。
身体を売ってる事実もプラスされれば、なおのことだった。



「なんつーか、俺、なんだかんだで佐倉と関わっちまって……ああいうやつだろ、なんか、放っておけなくて」
「……龍らしいな」
「だから、別に変な誘惑かけられてるわけじゃねぇし、好きとかそういうんでもねぇ」
「……わかった、そういうことにしとく」
「はぁっ!?」



いつもの調子に戻ったように、淳はけらけらと笑った。



「あー……こういうお前、ひっさしぶりに見たわ」
「何か勘違いしてるだろ!?別に佐倉とっ」
「わかったわかった!」



腹を抱えて笑いながら、背中をばしばし叩かれた。



「ま、少ししか話してねぇけど、別に危ない感じはしなかったしな」
「……おー」
「頑張れよ」
「何をだよっ」



結局、何か変な誤解は解くことができなかった。



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