8
 

「別に……」
「………」



間宮の言葉がぐるぐると頭の中を巡る。

僕は、乾にとって厄介者だと思われている。
少なくとも、間宮には良く思われていない。

じゃあ、乾は?
放っておけない、何があったのか知りたい、と言ってくれた、乾は?

本当は、邪魔者だと思ってる……?



「……佐倉、」
「穂積、どう?」



穂積先生が何か言おうとして、遮るように乾が声をかけた。
カーテンが開かれて、じっと見つめられる。
なんとなく居たたまれなくて、目を反らして服を着直した。



「少し痣にはなってるが、大丈夫だ。気管が圧迫されて、一瞬苦しくなっただけだろ」
「……そ」



乾は目元を緩めて、まるで良かったと言うように、僕の頭に手を伸ばしてきた。
撫でられる、そう気付いて思わず、



「っ」



ぱしんっ、と音がして、はっと気づく。
思わず乾の手を払ってしまっていた。



「……ご、ごめん、なさい……」
「や……佐倉、ここ残るか?俺たちは行くけど」
「あ……そ、そうします、」
「わかった」



じゃあな、と乾と間宮が去っていく。
カーテンが閉められる瞬間、射抜くような間宮の目線に気付いた。

何か気付いたのか穂積先生が、そっと、頭を撫でた。



前へ top 次へ

 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -