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「別に……」
「………」
間宮の言葉がぐるぐると頭の中を巡る。
僕は、乾にとって厄介者だと思われている。
少なくとも、間宮には良く思われていない。
じゃあ、乾は?
放っておけない、何があったのか知りたい、と言ってくれた、乾は?
本当は、邪魔者だと思ってる……?
「……佐倉、」
「穂積、どう?」
穂積先生が何か言おうとして、遮るように乾が声をかけた。
カーテンが開かれて、じっと見つめられる。
なんとなく居たたまれなくて、目を反らして服を着直した。
「少し痣にはなってるが、大丈夫だ。気管が圧迫されて、一瞬苦しくなっただけだろ」
「……そ」
乾は目元を緩めて、まるで良かったと言うように、僕の頭に手を伸ばしてきた。
撫でられる、そう気付いて思わず、
「っ」
ぱしんっ、と音がして、はっと気づく。
思わず乾の手を払ってしまっていた。
「……ご、ごめん、なさい……」
「や……佐倉、ここ残るか?俺たちは行くけど」
「あ……そ、そうします、」
「わかった」
じゃあな、と乾と間宮が去っていく。
カーテンが閉められる瞬間、射抜くような間宮の目線に気付いた。
何か気付いたのか穂積先生が、そっと、頭を撫でた。
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