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「で、種目どうする?」
「チーム戦のがいいだろ」
「サッカーとか?」
「うえ、外暑そー」
次々と出される案に、僕は黙って聞く。
どうせ出ることはないのだ。
「佐倉は何がい?」
淳と呼ばれていた男が、ふと聞いてきた。
それに準じて周りの視線が僕に集まってきて、慌てて乾を見る。
「あー、こいつ、運動とか禁止なんだわ」
「え、何で?」
「言ったろ、保健室サボり仲間だって。俺みたいに授業サボるために保健室行ってると思うか?」
そらそうだ、と笑いが生まれる。
「身体弱いとか言うやつ?」
「……まぁ……そんな感じ、です……」
「んじゃ仕方ねーなー」
「確かに肌焼けてないね、真っ白」
「いいじゃん、マネージャーってことで!」
良い流れを断ち切ってしまったかと思ったのに、ぱっと周りが明るくなる。
その中心にいるのがどうも自分らしく、なんだか落ち着かない。
「バレーは?」
「ここのバレー部全国クラスじゃん、そんなやつらと当たったら嫌じゃね」
「バスケ?」
「あ、俺中学までやってた」
「佐倉は得点係ってことでさー」
あっという間に種目が決まり、僕は得点係ということになってしまった。
バスケはよくわからないから、勉強しておく必要がありそうだ。
「こいつのことだから、多分今日からバスケの本読み漁るぞ」
乾が笑いながら指摘して、思わずびくりとしてしまった。
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