8
 

「ぼ、僕は、知ってほしいなんて思っていません」
「俺が知りてぇんだよ」
「し、知りません。あなたの願望なんて」
「黙って教えろ」
「却下します」
「てめっ」



思わず、佐倉の長い前髪を掴んだ。
一瞬驚いて、きっ と睨まれる。



「俺がこんだけ頼んでんのにわかんねぇのか!俺にそんな口きけるの、お前だけだぞ!」
「知ってますっ、学校一の問題児で先生方も頭を悩ませ、尚且つ成績優秀、スポーツ万能!だからっ……」



勢いが急に失速していくように、佐倉はそっと、目を伏せた。



「だから、惨めになる……」
「っ……」



引け目、と言うものなのだろうか。
考えて、佐倉の前髪を離した。
乱れてしまったそれを手櫛で整えて、けれど佐倉は、顔を上げようとはしなかった。



「……ごめん」



俺の興味だけを、ぶつけてしまった。



前へ top 次へ

 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -