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我ながら単刀直入すぎると思った。
けれど、ぐだぐだと戦略的に聞き出すのも、らしくないと思った。
こそこそと嗅ぎまわられることを、佐倉は嫌がるだろう。
「………もう、夜に出歩いたりしてませんから、ご安心を」
「じゃあ、何で売りしてた」
佐倉は両手にお茶を持って、じっとストローの先を見つめていた。
「……あなたは、僕の何を知って、どうしたいんですか」
佐倉は、恐れてる。
自分の弱さを見せるのを、知られることを、そして、拒絶されることを。
手が震えていることに、佐倉は気付いているのだろうか。
「あなたに利益があるとは思いませんが」
「ねぇな。はっきり言って」
「っ、じゃあ」
「言っただろーが」
意地っ張りで、奥の奥まで考えてしまう佐倉には、はっきり言わなければ伝わらない。
中途半端な言葉は思惑を生んで、拗れて伝わってしまうから。
「ほっとけねぇんだよ」
自分にもわからない激情を、言葉にすることなんて出来なかった。
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