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いつからだったか、こんな生き方をし始めたのは。

昔はそれなりに素直な子どもだった気がする。
身体が弱かったのは、今も昔も変わらないけれど。



物心ついたときには、父親はいなかった。
あの女は新しい男をつくっては、僕を邪魔者扱いした。

必要など、なかった。



気づいた頃には、一人だった。
友達何て言うものは、必要なかった。

所詮はその場限りの付き合い、そんな面倒なものは必要ない。



知られない、間に。
誰にも看取られず、悟られず。

―――死んでいきたいと、思った。



音が遠退く感覚がした。

金切り声の混じる音。



『生まれて、こなければ』



ああ、また泣いている。

女は泣きながら僕を見る。
けれど僕は泣いてやらない。

そっと、静かに笑ってやる。



人間なんて、自分が良ければ他人なんてどうでもいいんだ。

産まれてきたくて、ここにいるわけじゃない。
他人の我儘のせいで、僕はここにいる。



ならば、いっそ、殺してくれよ。



「―――佐倉、」



耳元で聞こえた声に、はっと眼をさました。



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