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時々こうやって、薬をすべて捨てて、死んでしまえたらと思う。

死ぬことは簡単だ。
生きたいとも思わない。
けれど、死ぬことは負けることだとわかっているから。

早く死ねばいいのにと、産まれてこなければよかったのにと、そう言われて生きてきた。
高校に入ってあの女のもとを離れて、少しは母親としての罪悪感はあったのだろうか、送られてくる生活費や通院費には全く手をつけなかった。



一人で生きていくと決めた。
もう生きたくないとも思った。

守るものも、大切なものも、なかった。



それでも僕は生きている。
たまに怠けて死んでしまおうかなんて思うときもあるけれど。



結果は一つ、僕はそう簡単に『死んでやらない』。



僕が死ぬと、あいつは喜ぶ。
だから、死んでやらない。

僕の、生きる理由。



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