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最早、自分に呆れる。
人形のようになっても、死んでしまったようになっても、俺はガキのように、どうしようもなく、佐倉が好きなのだと気付いた。
拒絶された事実は消えはしないのに、また、笑って欲しいと、願ってしまうのだ。
「佐倉、」
耳元で囁くけれど、佐倉は反応しなかった。
頭を撫でて、細くなった首に触れて、その儚さに、恐ろしくなる。
「好きだ」
思わず、零れた。
わずかだけど、ぴくりと佐倉が反応をした。
「裏切られたとか、思ってねぇから」
「………」
「俺が勝手に言ってるだけだから、お前は気にすんな」
ふてぶてしいようで、他人なんて知らないというような風体で、けれど誰よりも他人のことを気にしてしまうと知っている。
きっと俺に対しても、罪悪感を持っている。
言ってない言葉は、たくさんあった。
聞いてない言葉も、たくさんあった。
佐倉が俺に、心を許しているというのなら、それは何と言う感情なのか、俺はまだ知らない。
「だから、俺のことは置いといて、幸せになればいい」
それを聞かないと、俺は前には進めないのだ。
「でも、お前、本当は―――俺のこと、どう思ってんだよ」
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