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小さい頃は、外で遊ぶのが好きだった。
小さい頃は、友達と遊ぶのが好きだった。
小さい頃は、母親が好きだった。

身体はもとから弱かった。
けれど母親は看病してくれた。
ずっと傍にいてくれた。

温かくて、嬉しかった。



気付いた頃、外で遊ぶ気力がなくなった。
気付いた頃、友達もいなくなった。
気付いた頃、母親は嫌いになった。



母親は知らない男と遊んでいた。
まだ若く、綺麗な母親だった。

『あんたなんか産まなければよかった』

存在をすべて否定された。
病弱な身体は金を食って、また否定された。



殴られた。
切られた。
殺されることはなかったけれど、それもいいと思った。



僕が邪魔なら、排除すれば良いと思った。



しばらく経った頃、僕は思いついた。

僕をこの世に生み出した母親を憎んだ。
そんな僕を恨む母親を憎んだ。

死んでやろうと思った。
けれど死ぬことは、母親の望みだった。

母親の望みは叶えたくなかった。
だから僕は『死んでやらない』と誓った。



母親の手を借りず、一人で生きて行こうと思った。



その気も、今になっては、失せた。



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