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佐倉が入院をしてから、一週間が経った。



クラスでは淡々と説明があり、誰も気にすることはなく、毎日は過ぎて行った。
スポーツ大会のメンバーの間だけでは話題に上がることもあったが、面会は許されていないらしく、何も出来ず仕舞だった。

当然、この一週間、俺も佐倉の様子を見ることが出来なかった。



穂積から呼び出されたのは、突然のことだった。
屋上に行くと、穂積は煙草をくわえて壁に背を預けて待っていた。

空気は、苛立ちを孕んでいた。



「一度、見舞いに行ってやってくれねぇか」
「あ?……面会謝絶なんだろ」
「表向きはな。あの男にも合わせてない。合わせたくないというより……誰にも合わせられない状態だ」
「………?」



歯切れの悪い言葉に、疑問符が浮かんだ。



「どんどん悪い方向に向かってる。身体がって意味じゃなく……精神的な意味で」
「………それは、どういう」
「……とにかく、行ってみてくれねぇか」



少し強い口調で言われるけれど、俺には成す術がない。
佐倉に否定されてるのに、またこれから、否定されに行かなければいけないのか?



「俺が行ったら、怯えるんじゃねぇの」



吐き捨てるように言うと、穂積は拳を壁にぶつけた。



「お前は、知らないだろうけどなっ……佐倉はお前と関わるようになってから……表情が、変わったんだ、ずっと惰性で生きてきたあいつが、笑うようになったんだ……!」
「………!」
「何があったか知らねぇが、理由もなく離れていくわけないだろ!?あれだけお前に心を許してた佐倉が、突然嫌いになるわけないだろう!?」



―――心を、許してた?



「あんなに他人が嫌いだった佐倉が、安心したようにお前を傍に置いてたんだ、」




多分、俺は聞いてない言葉が多すぎる。
佐倉も、言っていない言葉が多すぎる。

会って、話をしたい。
会わなければいけない。



気付いたら、学校を飛び出していた。



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