5
side.理央
僕は、知ってる。
あの日の出来事を、秋良は自分のせいだと思っていること。
僕のために、努力して収入のいい仕事に就いたこと。
僕を生かすために、必死に働いていること。
「ぼくが、いなかったら」
秋良は、幸せだったのかもね。
好きな仕事について。
自分のためにお金使って。
もしかしたら、結婚もして。
幸せな家庭を、築いていたのかも、
「っなに、言ってんだ」
痛いくらいに、抱き締められた。
息が、出来ないくらいに。
「俺が、理央の傍にいようと思ったのは、俺の選択だ」
「あ、きら」
「好きだ、」
汚れてしまった僕を、受け入れてくれる。
「あきっ、あきら、あきらー…」
「ん、」
「すき、いかないで、」
気づいたら、雨は止んでいた。
通り雨は、去っていった。
綺麗な青空が、見えた。
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