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side.秋良



ひゅー、ひゅーと喘息特有の呼吸になって、俺は急いで薬を取り出した。
理央を抱き締めて、背中を撫でながら、落ち着かせた。



「あ、きら、」



消えそうな、声。
じっと見つめる、目。

俺しか、いない。



「大丈夫だから。俺がいるから。絶対、一人にしないからな……」



傷ついて。
裏切られて。
笑うことを忘れて。

あんな姿は、もう見たくなかった。
俺があのとき部活を長引かせず、一緒に帰っていれば。

理央は、犯されることは、なかった。



「ごめんな、俺のせいで」
「あき、ら……あきら……」



呼吸の落ち着いた理央を掻き抱いて、薄い唇に自分のそれを重ねた。
空気を送り込むように、舌を絡める。
理央は必死に、それに応える。



「あきら、ぼく、ね」
「ん、なに」
「あきらがいたから、生きてこれた」



俺のせいで、死ぬほど傷ついて。
でも、理央は笑って。
俺にそう言ってくれる。



「ごめんね、あきら、ぼくがもっと、強かったら」
「強くなくていい、俺がいればいい」
「あきらの人生、めちゃくちゃ、に、っ……」



言葉を濁しながら、理央は俺の胸元に顔を埋めた。



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