3
 

side.理央



「ひっ……!」



どぉん、と大きい音。
眩い光を見た。



あのときと、同じ空。



助けて、助けてと叫んだ。
何度謝っても、止まらなかった。

昼なのに暗い空。
学校帰りに、僕は、一人。
車が近づいて。
気づいたら、知らない部屋と。

知らない、男が、いた。



「やっ、げほげほっ……やぁ、っ!」
「理央、」



思い出したくない。
流れてくる記憶。

暗い部屋。
雨の降る、あの日。
雷が光って、
男の笑う顔が、近づいた。

僕に残されたのは、痛み。



「理央っ!」



秋良の声がした。
夢から覚めたように、意識がはっきりした。

うまく息ができなかった。
咳き込むばかりで、涙が出た。



「理央、ほら、ゆっくり吸って」



口にあてられたのは、吸入器。
喘ぐように、吸った。

秋良が、心配そうな顔で見てる。
僕を抱き締めてくれている。



「あ、きら、」



僕を、嫌わないでいてくれた人。

あの日から、僕は変わった。
人が怖くなった。
周りの友達は変な目で見るようになった。
おとうさんもおかあさんも、腫れ物を触るように扱ってきた。

僕が、悪いの?
なにをしたの?

でも、秋良は違った。



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