6
 

side.朝倉



葵は、ひどく怯えていた。

もっと早く、と思った。
迎えに行ってやれば、と思った。
気付いてやれば、と思った。



「ひ……っ」



怯えた目は、俺に向けられる。

わかっていた。
同じだってことも。

レイプまがいのことを、毎晩、葵にやっていることも。
あの男となんにも違っちゃいない。
自分の欲望だけを、ぶつけることしかできない。

男を殴った右手が、微かに痛んだ。



「………」



けれど、俺は。
たいせつ、に、して、やりたいと



「っ………」



葵が息を飲んだのがわかった。
小さな身体を、そっと、抱き締めた。

同じだ。
わかってる。
けれど、俺は。

その言葉の先を、紡ぐことは、できずにいた。



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