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side.執事



「こえ、を」



胸の中で聞こえる、くぐもった声。



「こえ、聞きたかった、」
「はい。何度でも、聞かせてさしあげます」
「きいたら、」



嬉しかった。
私を必要としてくれて。

なのに、



「きいたら、しねる」



そこにあるのは、絶望。
消えそうに儚い。



「死んで、しまいたいのですか」
「はい」
「私の声を聞いたら、死んでしまうのですか」
「はい」



淀みのない返事に、目眩がした。
ぐっと、千夏様の右腕に力が入ったのがわかった。
きっと私の腕のなか、見えないところで、自らを傷付けている。
左手の手首に残る、傷が増えていく。



「ならば、約束してください」
「……?」
「私の声が聞こえる間は、死んではいけません」



私が、いつだってそばにいるから。



「……はい」
「いいこですね」



その声を、途切れさせないために。



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