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side.執事



ご主人様に命じられて、部屋に入った。

佐伯千夏様。
ご主人様が購入された、『奴隷』。

部屋の中にあるのは、大きなベッドと小さなサイドデスク。
ベッドの上にうつ伏せに倒れている、小さな身体。



「……千夏様、」



その姿はひどいものだった。

ご主人様に虐げられた、無数の痣。
治りかけの、瘡蓋。
飛び散った白濁。

いつもと違うのは、すがるような、目だった。



「あ、あ、っ……」
「……!どう、されましたか」



いつもはほとんど関心を示さない千夏様。
私に話しかけてきたのは、ほとんど初めてだった。

掠れた声をひろうように、そばによった。



「あ、あー…っ」



震える指先が、私に伸ばされていて。
咄嗟に、それを掴んだ。

うつ伏せのままの身体をそっと持ち上げて、こちらに持たれかけさせた。
きゅっと、シャツを掴まれた。



「あ、あぅ……ぅ、」
「はい。ゆっくりでいいですよ」



大きなタオルで冷やさぬよう身体を包んで、耳を寄せた。



「こ、え」
「……?」
「声、きき、たい」



小さな、声。
しかしはっきりと、それは聞こえた。



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