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沈黙が、怖かった。
「っやっぱり、」
口を開きかけた時、頭のてっぺんにキスされた。
固まってる間に、それは耳やこめかみや、まぶたに降りてきて。
くすぐったくて、温かい。
言葉なんて、いらない気がした。
「……好き」
「うん、」
「どんなお前でも、好きだから」
「うん……」
何回聞いたって、不安は全く消えることはなくて。
この腕の痛みさえ、止むことはなくて。
でも、
「あいしてる」
不安になる暇がないくらい、ずっとそばにいてくれるならば。
俺は、満たされていく。
「お、俺も、好き」
「ん」
わかってる、と言うような短い返事。
「樹、いつ、いつきっ」
「ん」
「ごめ、なさ……もうしない、も、終わりにする、」
「ん……」
いつかこの痛みが、消えるような気がして。
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