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side.葵



包みを剥がされて、箱を開けられる。
また朝倉さんは、じっと固まった。



「す、好きです、よね、マシュマロ」



見かけによらず、朝倉さんはマシュマロが好きなのだ。
都築くんが言っていたアレも、マシュマロを指しているのだと思う。



「形っ……変で、ごめんなさい……うまく、作れなくて、っ」
「……お前が作ったの」
「は、はい」



やっぱ気持ち悪いかな、手作りなんて。
でも、いつも僕がご飯とか作ってるし。

色々考えてると、朝倉さんがひょいと一つ摘まんで、マシュマロを食べだした。
ぱく、ぱく、と小さいそれは次々に食べられていって。
その間、無表情。

あぁ、やっぱり笑ってはくれないんだなぁ、と思って、



「っ……!?」



突然、抱き締められた。
少しだけ、頭を撫でられてる気がする。

びっくりした。
無理矢理な行為はあっても、優しく抱き締めてくれることなんて、ほとんどないから。



「あさ、くらさ……」
「甘過ぎだ、馬鹿」
「う……ごめ、なさい」
「……次は失敗せずに作れよ」



……次?

どういう意味、と顔をあげようとしたら、唇を重ねられた。



「……嬉しい」



長い長いそれの間、息の狭間にちいさく聞こえたその言葉は、気のせいだったのかもしれない。
柔らかい笑顔も、見間違えだったのかも、しれない。



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