3
side.葵
「入れ」
朝倉さんの部屋に通されて、すぐ。
ぐいっと、腕を引かれてベッドに組み敷かれた。
反射的に固くなる身体を、朝倉さんは鼻で笑う。
卑劣な笑い方しか、見せてくれない。
「っあ、待って、朝倉、さっ……」
性急に服に手をかけようとする。
一生懸命突っ張るけれど、力じゃ叶わない。
「やっ、聞いて、おねがっ」
「………五月蝿い」
「っ」
噛みつかれるような、キスをされた。
駄目だ、流される。
そう思って、息の合間に切り出した。
「今日っ……なんの日か、知ってますか」
「あ?」
訝しそうに眉をひそめたところで、ぱっと身体を離した。
床に置き去りにされていた鞄から、小さな包みを取り出す。
「こ、これっ」
「………」
「あの、よかったら」
シャツも乱された、ベッドの上での、滑稽な状態。
朝倉さんは無表情に、包みをじっと見て固まっていた。
……怒らせてしまったのかもしれない。
突然こんなことされても、迷惑なだけだろう。
朝倉さんは、僕が憎くて仕方ないのに。
毎日嫌がらせをするくらい。
「いら、いらない、ですよねっ……ごめんなさ、っ」
沈黙が怖くて引っ込めようとしたら、ぱっと包みをとられてしまった。
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