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side.葵



「入れ」



朝倉さんの部屋に通されて、すぐ。
ぐいっと、腕を引かれてベッドに組み敷かれた。

反射的に固くなる身体を、朝倉さんは鼻で笑う。
卑劣な笑い方しか、見せてくれない。



「っあ、待って、朝倉、さっ……」



性急に服に手をかけようとする。
一生懸命突っ張るけれど、力じゃ叶わない。



「やっ、聞いて、おねがっ」
「………五月蝿い」
「っ」



噛みつかれるような、キスをされた。
駄目だ、流される。
そう思って、息の合間に切り出した。



「今日っ……なんの日か、知ってますか」
「あ?」



訝しそうに眉をひそめたところで、ぱっと身体を離した。

床に置き去りにされていた鞄から、小さな包みを取り出す。



「こ、これっ」
「………」
「あの、よかったら」



シャツも乱された、ベッドの上での、滑稽な状態。
朝倉さんは無表情に、包みをじっと見て固まっていた。

……怒らせてしまったのかもしれない。
突然こんなことされても、迷惑なだけだろう。

朝倉さんは、僕が憎くて仕方ないのに。
毎日嫌がらせをするくらい。



「いら、いらない、ですよねっ……ごめんなさ、っ」



沈黙が怖くて引っ込めようとしたら、ぱっと包みをとられてしまった。



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