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side.航
「………こ、う」
奈津は、ベットに大人しく横になっていた。
少しだけ、頬が赤い。
峠は越えていて、今はそんなに熱も高くないはず。
けれど不安そうな顔をしているのは、俺のことを考えているからだろう。
「あは、インフルエンザ、俺もかかっちゃった」
「っ……ぼ、っぼく、の」
「でも、よかったぁ」
言って、奈津のベッドに入り込んだ。
え、え、と戸惑っている奈津の隣。
お互いの体温が、いつもより高い。
「よかっ………?」
「だって、堂々と学校休めるでしょ。奈津とずっと一緒にいられる」
ぎゅーっと抱き締めると、奈津が少しだけ笑ったのがわかった。
「きつく、ない?」
「ないよー。奈津は?」
「も、だいぶ、楽」
一緒にごろごろしてるのだって、悪くない。
邪魔者は入ってくることもない。
「なにしよっか」
「?」
「せっかくの休みだし。一緒に寝るのもいいけど、なんかして遊ぶ?」
奈津は、いいの?と不安げな顔。
満月先生にちゃんと言われた通り、休まなきゃって思ってるんだろうな。
でも、テンションあがるでしょ。
こんなゆったりした時間が出来るなんて。
「あ、えと、」
「んー?」
「もうちょっと、このまま、がい」
奈津が布団をもぞもぞさせて、俺に擦り寄ってきた。
……かわいいこと。
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