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side.葵



ぱんっ、と音がして目が覚めた。



「誰が勝手に寝ていいっつった?」



頬を叩かれたんだと遅れて気付いた。
頬がじんじんして、痛い。



「まだお仕置きが足りないみたいだなぁ?」



お仕置き。
朝倉さんの呼び出しに、遅刻してしまった罰。
僕は体調が悪くて、眠ってしまっていて。
そうしたら、遅刻してしまった。

ぱんっ。
反対側の頬が熱い。



「聞いてんのか」
「った、い、」
「痛いだろうな、痛めつけてんだから」



朝倉さんは、にやりと笑った。
医者のくせに。
簡単に、傷付けるんだ。

ばしっ、ばし。
何度も何度も、笑って殴られる。
視界が歪んで、朝倉さんの顔が見えなくなった。
痛みはもう、なかった。



「おい、聞いてんのかって、」
「っと、」
「あ?」



胸ぐらを掴まれて、腰が浮いた。
朝倉さんの顔が近い。
あぁ、やっと、見えたよ。



「もっと、」



僕を、めちゃくちゃにして。



「もっと、ください」



何も考えられなくなるくらい。

あなたに、刻み込ませて。
あなたの手で、終わらせて。
あなたの中に、いさせて。



「殺して、くだ、さい」



朝倉さんの顔が、くしゃりと、歪んだ。

浮いていた腰を、ベッドに打ち付けられた。
肩を押されて、ベッドに沈む。
息ができなくなるくらいの、それ。



「殺してやるよ」



ぐっ、と喉がつまった。



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